インターネットに接続すると、IP(インターネットプロトコル)アドレスがWeb上でのデジタル識別子として機能します。アドレスには静的および動的(つまり、永続的または変動的) という2種類があり、この違いを理解することで、インターネット接続のニーズについて情報に基づいた意思決定が行いやすくなります。
IPアドレスの種類:プライベートIPアドレス、パブリックIPアドレス、専用IPアドレス、および共有IPアドレス
静的IPと動的IPの詳細に入る前に、IPアドレスの背景を理解することが重要です。静的および動的という分類に加え、IPアドレスにはプライベートおよびパブリック、専用および共有という分類があります。
これらの概念について詳しく説明します。
- プライベートIPアドレスはローカルネットワーク(LAN)内で使用されます。ルーターは、ローカル通信のためデバイスにプライベートIPアドレスを割り当てます。ローカルネットワークの外からは見えず、インターネット通信では使用されません。
- パブリックIPアドレスはインターネットサービスプロバイダー(ISP)によって割り当てられます。これらのアドレスは、デバイスがインターネット経由で通信する際に使用され、世界のどこからでもアクセスできます。Webサイトにアクセスする際、WebサイトにパブリックIPアドレスが公開されます。
- 専用IPアドレスは、1人のユーザーまたは一世帯に割り当てられます。他のユーザーやネットワークと共有されません。
- 共有IPアドレスは複数のユーザーが同時に使用します。ISPが複数のユーザーグループに同一のIPアドレスを割り当て、NAT(ネットワークアドレス変換)でトラフィックを分離する場合があります。
本記事は、レジデンシャルIPアドレス(ISPから割り当てられるパブリックIPアドレス)と、これに付随する静的IPまたは動的IPに関するすべてのものに焦点を当てています。
静的IPアドレスとは何か
静的IPアドレスとは、インターネット接続に割り当てられ、変わることがない固定のIPアドレスです。ISPが静的IPを割り当てると、何度インターネットに接続しても(何日経っても、何回再起動しても)同じアドレスが保持されます。場合によっては、何年間も保持されます。
ISPがこのIPアドレスを永久に所有する保証はありませんが、サービス契約を維持し、ISPがそのIP範囲を管理し続ける限り変わることはありません。
静的IPアドレスの長所
一般的なインターネットユーザーには静的IPアドレスは不要かもしれませんが、以下のような利点があります。
- 信頼性の高いリモートアクセス。パブリック静的IPアドレスなら、どこからでもネットワークに接続できます。アドレスが変わらないため、追跡や更新は不要です。
- サーバーをホスティング可能。設定の複雑性やセキュリティを考慮すると最も実用的な解決策とは言えませんが、IP変更時にDNS(ドメインネームシステム)設定を再構成することなく、ご自宅でWebサーバーやゲームサーバーをホスティングできます。
静的IPアドレスの短所
一方、家庭用の静的IPアドレスには以下のような欠点があります。
- セキュリティリスクが高まる。固定IPは時間の経過とともに追跡されたり、標的にされたりする可能性が高まります。サイバー犯罪者は、IPアドレスが変わらないことがわかれば、より執拗に攻撃を仕掛ける可能性があります。
- 利用の制限。すべてのISPが一般家庭向けに静的IPを提供しているわけではありません。多くの場合、静的IPはビジネスクラスプランでのみ利用可能です。
- 手動設定。静的IPを取り扱っている一部のISPでは、手動によるネットワーク設定が必要であり、ある程度の技術的知識が求められ、設定ミスが発生する可能性があります。
- コスト高。ISPは通常、静的IPに対して追加料金を請求します特にビジネスプランでのみ提供する場合にその傾向が見られます。
動的IPアドレスとは何か
動的IPアドレスは恒久的に割り当てられるものではなく、随時変わる可能性があります。ISPは利用可能なIPアドレスのプールを維持し、必要に応じてそれを顧客に割り当てます。ルーターの再起動時や、ISPの定期メンテナンスの一環として、IPアドレスが変わる場合があります。
動的IPアドレスの長所
- 費用対効果の高さ。ほとんどのISPの標準パッケージに動的IPアドレスが含まれているため、追加料金なしで利用できます。
- 簡単な設定と使いやすさ。ISPがバックグラウンドでIPの割り当てと管理を行うため、ユーザーによる手動設定は不要です。
- プライバシーとセキュリティの向上。IPアドレスが随時変わるため、長期的にオンラインでの活動を追跡することがやや難しくなります(ただし、VPNなどのプライバシーツールの代用にはなりません)。IPアドレスが変わるため、サイバー犯罪者が特定のネットワークを標的にした継続的な攻撃を仕掛けることが難しくなります。
動的IPアドレスの短所
- ホスティングの問題。自宅サーバーを動的IPアドレスでホスティングするには、ホスト名を固定するためにダイナミックDNSなどの回避策が必要となるため、プロセスが複雑になります。
- リモートアクセス上の課題。IPアドレスが頻繁に変わると、ネットワークへのリモート接続がより難しくなります。設定を適宜更新するか、現在のアドレスを追跡するサードパーティサービスを利用する必要があります。
静的IPと動的IPとの比較:違い
静的IPアドレスと動的IPアドレスの主な違いは、IPアドレスが変わるかどうかです。静的IPは長期間変わりませんが、動的IPは定期的に変わる可能性があります。
静的IPは、ご自宅でサーバーを運用する場合、信頼性の高いリモートアクセスを設定する場合、または頻繁に更新せずにDNSレコードを維持する場合に有用です。ただし、費用が高くなったり、手動設定が必要になる場合があり、アドレスが変わらないため攻撃者に追跡されやすくなります。
一方で、動的IPはほとんどの家庭向けパッケージに含まれており、ISPによって自動的に割り当てられ、維持されます。IPは時間とともに変わるためプライバシーの面では若干の利点はありますが、ダイナミックDNSなどの追加ツールなしではホスティングやリモートアクセスがより困難になります。
静的IPアドレスを取得する方法
オンラインアクティビティに対して安定して変わらないIPアドレスが必要な場合は、静的IPアドレスの使用方法を学ぶことが適切な選択と言えるでしょう。ここでは、静的IPアドレスを取得する方法について説明します。
ISPからパブリック静的IPアドレスを取得する
- 自分のISPを確認します。ほとんどのISPは、デフォルトでパブリックIPアドレスを動的に割り当てています。ただし、一部のIPは、静的IPアドレスの提供(ISPに1つのIPアドレスを割り当て、変更しないよう依頼することで「静的」にすることができるようにすること)を、追加料金が必要なサービスまたはビジネスプランの一部としてのみ提供しています。
- 必要に応じて、ビジネスプランにアップグレードしてください。静的IPはビジネスクラスパッケージにバンドルされていることが多いため、プランのアップグレードが必要になる可能性があります。一方で、一部のISPは、一般家庭向けに静的IPを一切提供していません。
- 必要に応じて、手動で設定してください。ISPが静的IPアドレスを自動的に割り当てない場合、自身でルーターやモデムで設定する手順を提供している可能性があります。
静的IPアドレスでVPNを取得する
一部のVPN(仮想プライベートネットワーク)プロバイダーは、サービスの一環として静的IPアドレスを提供しています。VPNに接続すると、インターネットトラフィックはVPNサーバー経由でルーティングされます。これにより、ISPによって割り当てられたパブリックIPアドレスが隠され、代わりにウェブサイトとオンラインサービスにはVPNサーバーのIPアドレスのみ公開されます。
VPN経由の静的IPアドレスの利点をいくつかご紹介します。
- 整合性がとれた外部IP。
- プライバシーの強化。ISPが割り当てた自宅のIPアドレスが直接インターネットに公開されないため。
- フレキシビリティの向上。複数の国や地域をまたいで静的IPアドレスを利用できます。
Surfsharkの専用IP機能
Surfsharkは、他の多くのVPNプロバイダーと同様、一部のサーバー拠点で静的IPを提供しています。ただし、他のVPNユーザーと共有されない自分専用の静的IPアドレスが必要な場合、Surfsharkの専用IP有料アドオン機能が有効です。
- 機能:専用IPは特定のユーザー専用の静的IPアドレスを提供するとともに、VPN暗号化で接続を保護します。
- 使用すべき理由:Surfsharkの専用IPなら、インターネットサービスプランの変更やルーターの設定なしで静的IPのすべての利点が得られます。同時に、暗号化された通信やIPアドレスの秘匿など、VPNが実現するプライバシーとセキュリティの強化も享受できます。
- 使用法:Surfsharkをサブスクライブした後、プランに専用IP機能を追加してください。アクティブにした後、Surfsharkアプリで有効化できます。各ステップで追加サポートが必要な場合は、サポートページをご確認ください。
でも待って、自分のIPが静的か動的か、どうやって確認すればいいのでしょうか?
ローカルネットワーク内でルーターがデバイスに割り当てるプライベートIPアドレスが静的か動的かを確認することは、ネットワークの問題のトラブルシューティングや特定のサービスの設定に役立ちます。確認の手順はご利用のオペレーティングシステム(OS)によって異なります。
WindowsでIPの種類を確認する方法
- タスクバーの検索をクリックし、「コマンドプロンプト」と入力します。
- 「コマンドプロンプト」を選択します。
- 「ipconfig /all」と入力し、Enterを押します。
- 「DHCP 有効」の行を探します。「はい」であればIPアドレスは動的であり、「いいえ」であればIPアドレスは静的です。
macOSでのIPの種類の確認
- Appleアイコンをクリックし、「システム設定」を選択します。
- 「Wi-Fi」を選択し、ネットワークの隣にある「詳細」をクリックします。
- 「TCP/IP」をクリックし、「IPv4の設定」を探します。
- 「手動」であればIPアドレスは静的であり、「DHCP使用」であれば動的IPアドレスです。
AndroidでIPの種類を確認する方法
- 「設定」に移動します。
- 「接続」をタップした後、「Wi-Fi」を選択します。
- アクティブなネットワークの隣にある歯車アイコンをタップします。
- 「詳細」をタップし、「IP設定」を探します。
- 「DHCP」(動的IPアドレス)または「静的」の隣にチェックマークがあります。
iOSでのIPの種類の確認
- 「設定」を開きます。
- 「Wi-Fi」をタップし、現在アクティブなネットワークを選択します。
- 「IPの設定」を探します。「手動」であればIPアドレスは静的であり、「自動」であればIPアドレスは動的です。
結論:どちらの種類のIPが自分に適していますか?
ほとんどのインターネットユーザーには動的IPアドレスが適しています。動的IPは、ISPから最も一般的に提供されるもので、自動的に割り当てられ、追加費用もかかりません。動的IPは、ブラウジング、ストリーミング、ゲームなどの日常的な活動に適しています。
静的IPはそれほど一般的ではありませんが、信頼性の高いリモートアクセスを可能にする場合など、一貫したアドレスが必要なケースではより良い適しています。ISPが静的IPを提供していない場合、静的IPまたは専用IPがあるVPNが実用的な代替手段となります。
よくあるご質問
静的IPから動的IPに変更するのは難しいですか?
一般消費者向けのデバイスでは、比較的簡単に静的IPから動的IPに切り替えることができます。 実際、ほとんどのデバイスはデフォルトで動的IPを使用しています。 その逆の切り替えはより複雑であり、通常はISPへの連絡が必要となり、多くの場合で追加費用がかかります。
静的IPは動的IPよりも速いですか?
いいえ。静的IPアドレスは本質的に動的IPよりも速いわけではありません。ただし、より接続が安定するため、VoIPやその他のリアルタイムアプリケーションには便利です。
家庭用ネットワークには静的IPの方が適していますか?
サーバーをホスティングしている場合や、セキュリティカメラ、NAS(ネットワークアタッチトトレージ)ドライブ、スマートホームハブなどの家庭用デバイスにリモートでアクセスする必要がある場合、静的IPは家庭用ネットワークに適しています。
VPNによってIPの種類を変更できますか?
VPNを使用しても実際のIPの種類は変更できません。接続が静的IPと動的IPのいずれを使用するかはISPによって決定され、VPNはVPNサーバーのIPによってIPアドレスを隠します。基本的に、インターネットはIPではなくVPNサーバーのIPアドレスを認識します。
通常、VPNは動的IPを使用しますが、一部のVPNプロバイダーは専用の静的IPアドレスを提供しています。たとえば、Surfsharkの専用IPアドオンは、他のユーザーと共有しない静的IPアドレスを割り当てます。
ゲームには静的IPと動的IPのどちらが適していますか?
ゲームサーバーをホスティングする場合や、遅延の軽減と安定した接続が重要となるオンラインゲームで対戦する場合、静的IPの方が適しています。静的IPは、一部のゲームで最適なパフォーマンスを得るために必要なるポート転送を簡素化できます。静的IPが遅延の軽減を保証できるわけではありませんが、接続の安定性の向上により、よりスムーズなゲーム体験につながる可能性があります。
カジュアルゲームを楽しむ場合なら動的IPで十分であり、ほとんどのプレイヤーは違いに気づかないでしょう。
静的IP付きのRDPとVPNのどちらを使うべきですか?
単一のデバイスであれネットワークであれセキュアなリモートアクセスが必要な場合、RDPとVPNのどちらを選ぶかはニーズによって異なります。静的IPはどちらにも有効です。
RDP(リモートデスクトッププロトコル)によって、特定のデバイスへの接続がより容易になります。ただし、本質的に安全というわけではなく、セキュリティを確保するためVPNとの併用が推奨されます。
静的IP付きのVPNはすべてのトラフィックを暗号化し、ネットワークやデバイスへのアクセスを保護します。
